大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和55年(特わ)13号 判決 1980年3月10日

本籍

東京都大田区東雪谷二丁目七二番地

住居

同都同区東雪谷二丁目三三番一四号

会社役員

渡邊政弼

昭和六年一一月一四日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官江川功出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年六月及び罰金五三〇〇万円に処する。

右罰金を完納できないときは金五〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から四年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、東京都大田区東雪谷二丁目三三番一四号に居住し、新日本舞踊山吹流家元として同流派の業務全般を統括していたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、同区東雪谷二丁目五番一号所在株式会社大和銀行雪ケ谷支店などにおいて、弟子から収受した月謝収入等を仮名の定期預金として預入れるなどして所得を秘匿したうえ

第一  昭和五一年分の実際総所得金額が八七、六二三、七六三円(別紙(一)修正損益計算書参照)であり、これに対する所得税額が五〇、九三七、一〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)であったのにかかわらず、右所得税の確定申告期限である同五二年三月一五日までに、同区雪谷大塚町四番一二号所在の所轄雪谷税務署長に対し、所得税確定申告書を提出しないで右期限を徒過し、もって不正の行為により右同額の所得税を免れ

第二  昭和五二年分の実際総所得金額が三五、四一五、五九九円(別紙(二)修正損益計算書参照)であり、これに対する所得税額が一五、四九七、〇〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)であったのにかかわらず、右所得税の確定申告期限である同五三年三月一五日までに、前記雪谷税務署長に対し、所得税確定申告書を提出しないで右期限を徒過し、もって不正の行為により右同額の所得税を免れ

第三  昭和五三年分の実際総所得金額が一三一、六六一、六七〇円(別紙(三)修正損益計算書参照)であり、これに対する所得税額が八三、八四二、二〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)であったのにかかわらず、右所得税の確定申告期限である同五四年三月一五日までに、前記雪谷税務署長に対し、所得税確定申告書を提出しないで右期限を徒過し、もって不正の行為により右同額の所得税を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書二通

一  儁侃健史の検察官に対する供述調書

一  収税官吏作成の月謝収入金額調査書、免状料収入調査書、基本料収入調査書、出演料収入調査書、諸会費収入調査書、販売手数料収入調査書、受取報酬調査書、その他の事業収入調査書、発表会経費調査書、免状授与式経費調査書、諸会費経費調査書、一般経費調査書、不動産収入調査書、不動産経費調査書、利子所得調査書、譲渡所得調査書

一  検察事務官作成の捜査報告書二通

一  雪谷税務署長作成の回答書

一  東京都大田区総務部課税課第二係長作成の証明書

(法令の適用)

一  判示各所為

各所得税法二三八条一項(情状により各同条二項を適用し、所定刑中いずれも併科刑選択)

一  併合罪加重

刑法四五条前段、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条(犯情重いと認める判示第三の罪の刑に法定の加重)、罰金刑につき同法四八条二項

一  労役場留置

刑法一八条

一  刑の執行猶予

懲役刑につき刑法二五条一項

(裁判官 須田贒)

別紙(一)

修正損益計算書

渡邊政弼

自 昭和51年1月1日

至 昭和51年12月31日

No.

<省略>

別紙(二)

修正損益計算書

渡邊政弼

自 昭和52年1月1日

至 昭和52年12月31日

No.

<省略>

別紙(三)

修正損益計算書

渡邊政弼

自 昭和53年1月1日

至 昭和53年12月31日

No.

<省略>

別紙(四)

税額計算書

渡邊政弼

昭和51 52 53年分

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例